やはりというか何というか、結局予想を越えた全6回もの長編になってしまった。当初は1都市につき1回、北京、大同、ウランバートル、カラコラムと全4回を予定していたのだが、持病であるダラダラ病が出てしまった。文章を書くのは好きなのだが、以前文がダラダラと長くなりすぎると指摘を受けたことがあり、今回はなるべく整然としたものになるよう心がけたつもりだった。やはり病気だから仕方ないのかな。
モンゴルの夜で印象的だったのが、レストランで食べたステーキである。この時はしょうこさんが日本に帰国するお別れ会も兼ねての食事だった。野菜はないが肉はすこぶる美味い国である。顔ぐらいもある大きな肉がジュ−ジュ−いいながら出てきた。うまい!5000トゥグ(約500円) 安い。あまりの大きさに食べ切れなかったほどだ。納得の一品。
そしてもうひとつが、ストリップである。モンゴルにストリップ?と思うかもしれないが、あるところにはある。ステーキを賞味した後、皆で行くことになった。地理もまだ暗かったし、文字通り暗くなりかけていたのでよく覚えていないが、入り口に屈強なもぎりがいたのは覚えている。薄暗い店内の中にたくさんのソファーが置かれ、そこで皆ドリンクを飲んでいる。客の入りは3,4割だろうか。タイプ的にはタイのゴーゴーバーみたいにおねーさんが棒にしがみついて踊っているのではなく、裸のおねーさんが踊りながら闊歩しているスタイルだ。みんな綺麗で、スタイルもいい。女性同伴だったので接近サービス(?)はなかったが、それでも社会主義から変わりゆこうとするモンゴルを感じられずにはいられなかった。
 |
|
| ゲルから見たモンゴル草原 |
|
|
|
寒かった。モンゴルの寒さは自分の予想を超えていた。6月だというのに朝晩よく冷える。特にカラコラムなどの田舎では真冬並みになる。風もよく吹き、冷たい。逆に高地の為か、日差しは強く、日中は半袖でもいいぐらいだ。もちろん日焼けもよくする。中国にいる時よりも、モンゴルにいた時の方が黒かった。そして日照時間の長さももすごい。朝は5時過ぎから、夜は10時近くまで明るい。行動できる時間が長く取れるのはありがたいが、寝不足に陥りやすい。
街並み。これは驚いたの一言である。まるでヨーロッパだ。アジアの匂いが全くしなかった。ロシアからの影響を強く受け、中国との交わりを絶ってきたためこのようになったのだが、とても新鮮に感じた。今までの経験にないものである。92年頃から民主化が始まったらしいが、未だに社会主義の匂いがプンプンする。そんな気がした。
モンゴルはまだまだ擦れていないいい国である。外国人にもまだ慣れていないという印象だ。街中にもキリル文字ばかりで英語表記がない。旅行者にはすこし辛い国かもしれない。しかしまだ産業が少ない為、これから観光業が大きなウエイトを占めてくる可能性も大いにある。幸いにも観光シーズンである夏が短いことが救いだが、観光地化により今の素朴で自然がたくさん残るモンゴルが汚されてゆくのは悲しい。生きてゆくためには仕方ないことかもしれないが、現在の観光地擦れしてしまったたくさんの国々を見ている限りやるせない気持ちになってくる。
食については寂しいが、歴史あるモンゴル民族と世界一の大草原は訪れるに値する素晴らしい国だった。英語がまったく通じない為、まだ旅し辛い部分はあるが、英語が通じる頃にはどうなってしまっているのだろうか?いつまでも誇りあるモンゴル民族を守っていってほしい。颯爽と馬で懸けて行くあの後姿、忘れる事はできないだろう。
(写真上:ゲルから見たモンゴル草原)
偉そうにモンゴルの回想などしてたら、窓からの景色が見えなくなっていた。中国行きの国際列車に乗ってすでに10時間近くになる。もう夜だ。行きにすでに通過して来ているので何も目新しい物はない。退屈だ。やがて国境に着く。そしてこれからある台車交換、出入国手続きを考えると・・・ 気が重くなった。
目が覚めると8時をすこし過ぎていた。すでに周りは明るい。昨夜は国境を発車したのが予定通り午前2時半過ぎ。相変わらず遅かった。さらに疲れと寝不足の上、朝一で目に入ってきたのが「大同」の2文字。「下痢の街」だ。この旅でまさか3度もここを通ることになるとは。呪われている。
ほとんど寝続けていた。車窓からの眺めもすでに草原ではなく、中国そのものだ。タイに帰国するのだと思うと本当に気が重い。何もする気が起こらない。持って来た本も全部読んでしまった。寝る、寝る、寝る、そしてまた寝る。同室の白人は3人でボードゲームに興じている。本当にやつらはカバンからいろいろ出してくる。そういえばスウェーデン親子は元気だろうか? 時々白人が食料を分けてくれた。
|
 |
|
天壇公園 祈年殿 |
|
|
14時過ぎ、北京駅に到着。もはや何の感慨もない。数週間前今旅で初めてここに立った時には感動でしばらく動けなかったが、今は帰国という2文字の為しばらく動けない。前回は下痢の為しばらく動けなかった気がする。北京に来たら必ず立ち寄る観光地へ行くことにした。天壇公園だ。7年前の留学時代から北京で一番好きな場所だ。もちろん今でも美しかったが、今回大同で見た「木塔」の方が迫力があったせいか、それほど感動はなかった。それでもこの三重の円形の塔はかわいい。(写真右:天壇公園 祈年殿)
その後、天安門の北にある景山公園へ向かった。初めて訪れたのだが、ここからの故宮の眺めは抜群だ。故宮全体がよく見渡せる。風も涼しく、気晴らしには最適だ。しばらくぼうっとしていたのだが、ここにやって来る日本人観光客の多さにはうんざりした。次々とガイドに連れられた団体が登って来る。老人ばかりの集団や、日本からそのままやって来たような格好の若者など。何人かは大声で喋りながら、プカプカタバコを吸っている。その上、隣の公園にある北海を指差し、
「揚子江だ!」
などと言っている。黄河ならまだ分かるが、揚子江はないだろう。中国人ガイドに訂正されていたのだが、日本人として恥ずかしく穴があったら入りたかった。2時間ほど景色を堪能した後、帰路につく。
中国は本当にパワーのある国である。7年経った今でもその溢れんばかりのエネルギーに時折押し潰されそうになる。長い間社会主義という大きな圧力の下生きてきた国だが、これからの改革開放で文字通りそのエネルギーが解放されたら恐ろしい事になるだろう。今はまだその力がうまく制御されていないだけ、そんな気がする。旅行中にもその大きな力が手にとるように感じられる。しかし、四千年の歴史が育んだ自然・文化遺産は一見の価値があるものばかりである。もちろん中国の底知れぬパワーに身をゆだねるのもいい。いろいろな楽しみ方ができる国・中国はやはり大好きな国の一つかも知れない。
データ
※入場料(天壇公園):35元
Homeにもどる
|