1.三度、シンガポールへ
実に6年ぶりの海外である。 これだけこれまで色々なところをふらふらしてきたのに、この6年間は本当に海外へは行かなかった。よく我慢できたのだと思う。ひとつは愚息のためかな。でもその代わり沖縄など国内旅行を満喫できたので、よし。 さて、その6年ぶりの海外であるが、必死に貯めていたANAのマイルが一部期限切れになりそうだったので特典航空券を利用することにした。 行き先は散々迷った挙句、嫁の熱烈希望のモルディブに加え、愚息に早く経験して欲しいということでタイに決まった。乗り継ぎの関係上、シンガポールにもトランジット(一時入国)する。またモルディブのマレからバンコクへは、特典航空券の燃油費がめっちゃ高くなってしまうので偶然飛んでいたエアアジアを利用。 これで足は確保。あとはホテルだが、モルディブが問題。リゾートはホテルのみの予約だと割高になる。ツアーで行った方がトータル的に安くなる場合もある。と言うことで、2009年から始まったローカル島への旅を思案。まだ幼い愚息のことを考えて、首都マレから2時間程度の船旅で着くローカル島「マーフシ」に決定。あとは適当にホテルを予約。 さて、事前準備は終わった。あとは出発を待つのみだ。 シンガポールでのトランジットを7時間程度確保したため、名古屋出発が夜になってしまった。 愚息、初めての海外へのフライトは夜行便。昼間は絶対に寝かせないようにして、機内で寝させる作戦を決行。午後9時半ごろ中部国際空港に到着した。ちなみに車で行ったのだが、8日以上車を駐車する場合は、セントレア駐車場に止める方が割安になる(それ以下だと東横インセントレアの方がお得)。 午後9時半の空港は意外にも薄暗かった。航空会社のカウンターが利用するタイ航空しかほぼ開いていない。照明は落とされ、タイ航空にチェックインする人のみが列をなしている。この人気のなさ。やはり名古屋はまだまだだな。 少し空港内を散策し、すぐに搭乗ゲートへ。 イミグレーションをくぐっても多くの店が閉まっていた。免税店ぐらいしかやっていない。自販機しかやっていない状態だ。仕方ないのでゲート前で座って過ごす。
飛行機は定刻通りに離陸。 意外だったのは飲み物サービス(おにぎりが出た!)に加え、それなりの軽食も提供された。0時5分発とほぼ深夜の時間帯なのに、ちゃんとした食事が出されるのはすごい。アルコールの飲めないモルディブを前に、今のうちとばかりにビールを飲んでしまい少し気持ち悪くなってほとんど眠れなかったのは計算外であった。久しぶりの海外に興奮したのかも。 幾分うとうとして気が付くと照明が点けられ、午前4時過ぎタイに到着。 ここからはシンガポールにトランジット。時間は5時間ほどあるのでプチ入国も考えたが、入管職員に聞くと(人によって回答が違うのだが)最悪ひとり700B (約2,100円)の空港利用料がかかる可能性があるらしい。3人で6,000円以上。プチ入国でそこまで出費する気にもならない。どうせ1週間後にはちゃんと入国するんだし。 ということで、トランジットエリアで出発まで過ごす。値段は高いが意外と店の数は多く、時間潰しには事足りた。
9時40分、シンガポール行きの飛行機に乗り、実に12年ぶりにシンガポールへ。 空港はあまり変わりなかったように思う。長いトランジットやらアクティビティで過ごした空港だ。とりあえず外へ。いくら必要になるか分からなかったので、とりあえずATMで100SD(シンガポールドル/約8,000円)を降ろす。さて街へ。 時間的に見てそれほど長くはいられないので行く場所は事前に決めていた。 それは2015年にシンガポールで初めて登録された、世界遺産「ボタニックガーデン」。当時コーヒー栽培が盛んだったこの地で、ゴムの栽培研究を行い自動車産業の発展ともに国の経済発展を後押し。その後はランの研究にも力を入れ、シンガポールのラン輸出の基礎を作る。それがここボタニックガーデンで行われ、その功績が評価されての登録となった。 空港からはMRTなどでも行けるが、時間がかかるのでタクシーを利用した。所要30分、22SD(約1,760円)。思っていたよりも安かった。タングリンゲートに連れて行ってもらいボタニックガーデンの前で降りる。しかし、久しぶりにシンガポールの英語を聞いたが、訛りがすごい。。「シンガニッシュ」と呼ばれる特殊な英語を話すのだが、特に中華系のおっさんの英語は半分以上聞き取れない。旅行会話の英語はそれなりにできるつもりでいたが、かなり苦労した。
ボタニックガーデンはその広さが東京ドーム13個分と、とても半日そこらで歩ける広さではない。中にはいくつかの見どころが点在しているので、時間がない人は行く場所を絞って訪れた方がいい。ランの花が咲く「ナショナルオーキッドガーデン」以外は入場無料というのも嬉しい。 さて入場。今年の日本は異常気象なほど夏が暑いので、正直シンガポールの暑さもそれほど気にならない。園内の日陰などでは逆に涼しさを感じるほどだ。それでも時刻は14時過ぎ。しばらく歩き続けると少しづつ暑さを感じてくるようになる。 園内は熱帯の木々で溢れている。特にスーパーでしか売っていないバナナが木に実っている光景は、愚息にはちょっと驚きだったのかもしれない。こういうのを見せられるのも異国の旅の醍醐味だろう。 ボタニックガーデンには11本のヘリテイジツリーと呼ばれる特別な木々がある。それぞれに色々な由来を持った木々である。例えば途中で見かけた「サガ」という木。その赤くてどんぐりの様な実は、その昔商売で重さを量るために利用されていたのだとか。 とてもすべて探しきれないが時間があれば色々見てみたいものだ。
さらに進むと今度はヘリテイジランドマークなる説明とともに白い東屋のような建物が現れた。 「バンドスタンド」と呼ばれる建物で、その昔ここでは馬車が通り、本当にバンドの演奏がされていたそうだ。周りは年中黄色い葉をつける木々「イエローツリー」が囲みなんとも穏やかな景色を作っている。シンガポールの人たちもここで写真撮影をするのが好きだそうだ。
その先にはジンジャーガーデンがある。生姜である。 普通の人はそんなに興味はないと思うが、以前タイで生姜工場に勤めていたことが少しあるので生姜の葉を見ると懐かしく思う。多少詳しいつもりであったがさすがここは専用のガーデン、全く知らない生姜やその花が咲いていた。大きさも栽培するものよりもずっと大きい。新たな発見が嬉しい。
あっという間のジンジャーガーデンを過ぎ滝を横目に見ながら先に進むと、ボタニックガーデンで一番の見どころである「ナショナルオーキッドガーデン」に到着した。このガーデン内で唯一の有料エリアで、ひとり5SD(12歳以下無料)が必要になる。ランの栽培は手間がかかるのでこれは当然だろう。入場料を払い中に入る。
文字通りたくさんのランが植えられている。 ただし自然の花なので仕方ないが、常にどのランも満開という訳ではない。満開のランの花が一面に見られると思っているとちょっと拍子抜けしてしまう。まあ考えれば当然なのだが。ご丁寧にフォトスポットなどの看板も掲げられ、写真撮影がしやすくなっている。
園内も意外と広く、ラン好きにはこれはたまらない場所であろう。
ただ、ここ随分と暑い。。 もともと強い日差しのシンガポールに加え、ランが高温多湿を好むのか湿度がとても高くなっている。通路にたくさんの水が撒かれおり湿度を上げているようだ。園内をちょっと歩くだけでこれまでとは打って変わって大量の汗が出てくる。カメラを持つ手も濡れてくるほどだ。ラン園内には見どころがもっとあるのだが、この暑さと疲れで愚息の元気がなくなってきているのでラン園を後にすることにした。やはりここは昼間に来る場所ではないかな。 ナショナルオーキッドガーデンを出るとずっと体感だが涼しくなった。 時計を見ると14時過ぎ。18時過ぎには空港へ戻りたいので残り実質3時間程度。目指すのはやはりシンガポールの観光定番「マーライオン」だ。 オーキッドガーデンからはMRTでも行くことができるが、ここの駅がちょっと離れた場所にあるので愚息もいるしとても歩けない。迷うことなくタクシーを利用。偶然にもラン園とジンジャーガーデンの間にゲートがあり、そこからタクシーに乗ることができた。 タクシーで約20分、14SDで到着。マーライオンパークだ。 当然だがここも12年ぶり。マーライオンは何だかんだ言ってシンガポールに来る度に見ているのでこれで3度目。決してすごい観光名所ではないのだが、見ると不思議と満足感を得られる場所である。がっかり名所だとは決して思わない。
そうこのマリーナベイサンズとマーライオンとのコラボが見たかったのだ。12年前にはなかったこの景色。シンガポールの活力が感じられる。 しかしここはいつ来てもすごい人。そして無意味に暑い。海が近いのだが、一面コンクリートに覆われているので照り返しがすごい。トリック写真を少し撮り、愚息がくたくたになってきているのでここもすぐに撤退。近くのコンビニで軽食をとりMRTラッフルプレスから空港に向かうことにした。
空港までは一度乗り換えて約45分で到着。2.4SD。安い。時刻は17時半過ぎ。フライトの3時間前に到着できた。ただMRT駅のエスカレーターが驚くほど速くて大人でもびっくりした。愚息はびびりまくり。 今回の入国はトランジットだったが無事航空会社のチェックインも終わり、入国審査へ。空港使用料や税なども取られることなく出国できたのだが、なぜか自分だけ自動出国システムへ回され、パスポートを機械でスキャンして出国審査が終わってしまった。 え?出国印は?ない?? たまらず近くにいたイミグレーションの職員に聞いてみると「自動だから大丈夫!問題ない!!」、と自信満々に親指を立てられてしまった。いやいやそういう意味じゃなくて、、出国した日付をちゃんとパスポートに残しておきたいのに。。 とはいえこのような場合何を言っても無駄なので、もう諦めることにした。これからは出入国も自動化の時代かな。それはかなり寂しい。 出発までまだ時間があったのと、シンガポールドルが余っていたので空港内で食事をとることにした。 タッチパネルで注文していたら最後に専用のカードが必要と知り、結局係員から購入。つみれの入ったラーメンと、ラクサのラーメンを注文。フードコートだったが、席を決めているうちに番号が表示され食事ができたことを知らされる。 余りにも早すぎたので嫌な予感がしたのだが、食してみてその予感が的中した。掲げている写真はとても美味しそうなのだが、出てきた物は見た目も味も酷いレベルであった。高い(二つで12.5SD)し不味いし、空港なのでこんなもんか。
マレ行きのフライトを待ちながら空港内のリラックスシートで寛ぐ。 チャンギ空港はこういった設備が素晴らしい。仮眠できるレベルだ。出発ゲートには予想以上に中国人がいる。皆モルディブに行くのか。 愚息はくたくたでシートで熟睡。まもなくモルディブの旅が始まる。 データ:
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