4.モルディブ・サンドバンク
6起床。最近は自然と6時に目が覚める。これが旅行だな。 今日は8時半にカーニビーチホテルに集合。ちょっと時間がある。食事を終えてから、マーフシ島のジェティに行ってみた。そろそろマレへの帰り方を探さなければならない。 マレからマーフシ島へ来る方法はネットでも結構情報があったのだが、何故かマーフシ島からマレに帰る公共フェリーについてはあまり詳しい記載がなかった。確かに島を歩いていてもマーフシからマレへのスピードボードの案内はそこら中で見かける。大概25ドル/人だ。 ただ必ずマレ行きの公共フェリーはあるはず。「ツーリスト島」と言ってもローカルの人も多くおり、彼らはスピードボードなど利用せず間違いなく公共フェリーに乗るはず。 そこで唯一事前に得ていた情報で「朝7時半にマレ行きのフェリーがある」と言うのを確認するために、7時半ちょっと前にジェティを訪れてみた。 7時15分、残念ながらジェティには誰もいない。フェリーが一隻停泊しているが、出航する気配なし。もちろんここにチケット売り場などもない。とりあえず7時半まで待ってみることにした。 7時半を過ぎる。変化なし。一旦ホテルに戻ろうとすると、背後の椅子に人が座っていた。さっきまで誰もいなかったので結構驚いた。とりあえずフェリーについて聞く。 「マレ行きの公共フェリーはあるのか?」 「あるよ、それだ」 そう言って停泊しているフェリーを指差す。 「今日は?」 「今日は休みだよ」 今日がイスラムの休日(金曜日)だと思い出した。 「チケットはどこで買える?」 「アーチャハウスだよ」 「ありがとう」 こんなにスムーズに話はいかなかったが、簡単に書くとこんな感じ。明日のマレ行きは恐らく大丈夫そうだが、アーチャハウス?チケット売り場がよく分からん。この辺で切り上げホテルへ。美味しい朝食を頂く。
いつも通りにカーニビーチホテルに集合。今日は自分一人での行動。先ほどのジェティに行き、またまた同じスピードボードに乗る。 リゾートトリップと同じ船だ。スピードボード利用にはちょっと驚いた。スノーケリングをするのにはちょっと乗り降りが不便である。たくさんのポイントを周るのでドー二のような遅い船ではダメなのだろうか。 参加はマレーシア人っぽい家族に白人カップルが2組。一人参加は自分だけ。さあ出発。
スピードボードで少し走り、最初に訪れたのはどこかのリゾート(とは後で知ったが)の沖にあるハウスリーフ。 この沖に停泊して、「さあ泳げ」だ。皆ぞれぞれスノーケリングの準備をして順番に海にドボンドボンと入っていく。スピードボード上でさらにフィンを付けているので歩き辛いし、海にも入り辛い。 深い。 10mはあるだろうか。ユニコーンフィッシュとか呼ばれていた魚が周りに寄ってくる。サンゴは少なく、魚影も薄い。 それにしても6年ぶりのまともなスノーケリング。最初はライフジャケットなしで泳いでいたが、すぐに疲れてきて時々溺れかける(笑)。。。潜水も試みたが耳抜きができずにふらふらに。そこで一度ボードに戻りライフジャケットを装着。少しは楽になったかな。。やれやれ、おっさん街道まっしぐらだ。
水面をぷかぷか浮きながら少し浅い方へ進む。少しだがサンゴが出てきて魚も増える。沈まないのでゆっくりとサンゴを見ることができる。しかしやはり体力消耗が激しいので一度ビーチに向かって泳ぎだしたのだが、ガイドに注意される。 「あそこはプライベートビーチだ」 なるほど。先に見えるビーチがリゾートだとこの時知った。だったら先に教えてほしいんだが。
40分ほどスノーケリングを行い、船に集合。しばらく移動して止まる。次はマンタポイントらしい。だがすでにこの時点でもうくたくた。随分久しぶりのスノーケリングで溺れそうになったり船に揺られたり、で。ほかの参加者は元気そうに準備をして次々と海へ入っていく。仕方がないのでゆっくりと準備してドボン。 ここも結構深い。海底はかろうじて見えるが、優雅にスノーケリングをやっている気力が沸かない。でも不思議と深い海に対しての恐怖心がなくなっている。 最初はガイドがマンタを探す。参加者はそれぞれ自由に泳ぐ。しばらくしてガイドが、「ハローハロー!」と叫ぶ。マンタがいたのだろうか?皆がガイドに向けて一斉に泳ぎだす。 急いでガイドの近くへ行って潜る。 「え!?」 何かいる。エイ?
改めてもう一度潜り直すと、驚いたことに大きなエイがこちらに向かって泳いできた!
潜った瞬間にこちらに向かって泳いで来るマンタに遭遇。本来なら喜ぶべきシチュエーションなのだがその大きさにビックリ。目の前で見ると本当にでかい。こちらに向かって泳いできたマンタは、おっさんを嘲笑うかのように真下を優雅に泳いでいく。ホントびっくりした。 ところで勝手な勘違いだったのだが、マンタとマンボウをごちゃ混ぜにしていた。縦長の魚だと思っていたのだが、突然現れたのと、それが平べったい「大きなエイ」だったからだ。まあマンタとマンボウでは確かに違う。 それにしても大きな口。そして刺さりそうな尾。ちょっと怖い。でも、びっくりしたが良いものを見られた。 再びスピードボードへ。乗り降りだけでも一苦労である。 ここからはしばらくスピードボードの旅。いくつかのリゾートを横目に見たり、宝石のように光るライトブルーの海を走ったり、開発中の島を眺めたり、と。美しい景色に、スピードボードの風が心地良い。
12時近くになってそのライトブルーの色がとても強くなる場所へ近づく。 お待ちかねのサンドバンクだ。砂州(さす)とも呼ばれる砂の堆積のよってできた場所。ハワイでは「サンドバー」とよ呼ばれるが、何が違うのかは分からない。ただ分かるのは、ここが「特別な場所」だということ。これから大きな島になるかもしれない、この出来たての「島の赤ちゃん」に上陸する。
意外と大きい。そして直射日光が差すので日差しが強い。海水はこの日光に温められてぬるいぐらいだ。砂は多少ごみは見えるものの真っ白で美しい。裸足では少し痛い。ビーチサンダルを履く。 それにしてもただただ美しい。おっさん頑張って走り、誰よりも先に上陸し写真を撮る。
サングラスを外すと目が痛くなるほどの輝きを放つ。真上からの強い日差しを浴びて海水がアクアマリン色に光り輝く。その先に真っ白い砂が横たわる。上には青い空。素晴らしく美しい自然の調和だ。圧倒的なモルディブの海の美しさに、ただただ心砕かれる。 ここでランチとなった。 ガイドがピラフと野菜炒め、そして甘辛く煮込んだ肉をタッパーに入れて持ってきてくれていた。それを皆が自由に皿に盛って食べる。乗船時にミネラルウォーターは貰ったが、ここでジュースも貰える。
ガイドが立てたパラソルの下で皆が座って食べる。味は正直よく分からない。なんせ目の前がサンドバンク。正直興奮していて何を食べているのかも分からない。後で写真を見て思い出したぐらいだ。早々に食事を終え、再び写真撮影へ。
大満足である。35ドルでこれだけの景色が見られるとは。リゾートも良かったが、それとはまったく違う良さがここにはある。今回は1時間程度の滞在であったが、スノーケリングなどしないでサンドバンクにずっと滞在するツアーもいいかも。ただし暑い。暑いというよりは直射日光を受け続けているので体力消耗が激しい。プラス、ボートでの移動が続いているのでちょっとふらふらする。 ガイドが知らぬ間にサンドバンクの掃除を始める。ここに流れ着いたプラスチック製のごみを拾う。自然と参加者もみな手伝い始める。結果的に麻袋ぐらいの大きさの袋に3袋ほどのごみが集まった。意外と広いサンドバンクだったので集めるとごみも多くなる。これはとても良い行動なのだが、この心掛けをマーフシ島でもできないのかな、と少し思った。
個人的にはこれでもうお腹いっぱい。かなり疲れてきているのでもうそろそろマーフシ島に戻っても良いかな。日陰のないサンドバンクはやはり体力を奪う。船に乗船後、スピードボードが走り出す。 順調にボートは進み少し眠気を感じ始めた頃、ボートが止まる。仮に、ここでガイドが豹変してナイフなど突きつけられたらひとたまりもないだろう。。。などと、疲れのせいか変な妄想に走る。皆が動き始める。雰囲気的にはまた潜るようだ。今度はカメらしい。周りはスノーケリングの準備を始める。まじか。。もうくたくただぞ。。 ゆっくりと準備をしてドボン。いつも飛び込むのは最後。 そして皆ガイドの後をついて行く。流石ガイドだけあって彼について行けば間違いはない(今更気づいた)。水深はそれほどないかな。2〜3mといったところ。これまでよりもサンゴなどが比較的元気。魚影は薄いがテーブルサンゴなども確認できた。
しばらくするとまたガイドが叫ぶ。 先ほどと同じパターン。皆急いで集まる。潜ってみるとたくさんの人間に囲まれた中にウミガメが優雅に泳いでいた。
とにかく人が集まる。そして一番近くにいるのがガイド。近すぎるだろ、とツッコミを入れたくなるほどだ。 ウミガメは我が物顔で泳ぐ。逃げる様子もなく気分、気ままに。それにしても周りに集まる人の多さ。まるでストーカーだ。皆でしつこい位に追いかけ、写真を撮りまくる。自分もその一人なのだが、撮っていて滑稽に思えてきた。 やがてウミガメは鬱陶しく思ったのか、ドロップオフの深い闇へと消えていった。ここでスノーケリング終了。皆ボートに戻る。
時刻は14時過ぎ。このツアーは15時終了予定なので、これでマーフシ島に戻ればちょうどいい。内容充実で疲れたが、良いツアーであった。スピードボードはガンガン進み、やがてマーフシ島が見えてきた。 これで終了!っと思いきや、いきなりマーフシ島が見える沖で停泊。 「ドルフィン!」 とガイドが叫ぶ。小さなイルカが数匹の群れを成して泳いでいる。イルカもいいが、まだプログラムがあったことに驚く。 今回は船の上からの見学。ふらふらする。イルカを追うように低速で移動。写真タイムなのだが、緩やかな揺れ、疲れ、軽いめまい。船酔いには好条件だ。気持ち悪くなってきた。数枚イルカの写真を撮ったが、本当におなかいっぱい。
15時に予定通りマーフシ島に帰島。 ランチの他にミネラルウォーターやリンゴをくれたりと、価格の割にはかなりお得なツアーであった。若干詰め込みすぎ感はあったが、それはそれで良いだろう。個人的には食べ物を少し持参した方がいいと思った。何度も泳ぐわけで、ランチはあるものの意外と小腹がすく。お菓子類でもいいかな。 マーフシ島最終日に充実したモルディブの海を堪能できた。 部屋に戻ると愚息たちがすでに戻っていた。 かなり疲れていたのでミニマートで買ったカップ麺をすすり、暫し休憩。夕方になり愚息と二人で最後のマーフシ島の散歩に出る。よくよく見るとマーフシ島にもしっかりとモスクはあり、イスラム教が感じられる。マレのような早朝のコーランはなかったので有難い。 18時過ぎにマーフシ島最後の夕食をビーチでとる。食後は今回何度も足を運んだカーニビーチホテルに行き、インド人のおっさんにマレまでの公共フェリーについて尋ねる。最初はやはりスピードボードの話になったが、「公共フェリーを望む」と伝えるとすぐにチケット売り場を教えてくれた。 「アーチャハウス」、という。 今朝、仕入れた情報と同じだ。場所を聞くとすぐ近くらしい。ただ何故か20時過ぎじゃないと店が開かないとのこと。時間があったので実際に行ってみると、なんてことはない「ただのミニマート」であった。店名が「アーチャ」。言われた通りに20時過ぎに再訪すると店は開いていて、中のおばちゃんに「フェリーのチケット」と伝えると。チケットを売ってくれた。 全然わからんぞ。これは。外に全くその案内もないし、むろん店内にもない。実は数日前にここで買い物をしているのだが、もちろん全く分からなかった。まさに地元民が知る場所。とりあえず良かった。こういう現地のハラハラ感は好きだな。ちなみに出航時刻は午前7時半。これも事前情報通り。チケットを購入してホテルに戻る。 ちなみに今日は愚息の誕生日。マーフシ島唯一のパン屋さんで買ってきたクリームパンとニンジンケーキで簡単に祝ってあげた。
翌朝は5時前に起きる。外はまだ暗い。海風がよく入るので洗濯物がすぐに乾くのがありがたい。今日はチェックアウトなので少しずつ片づけをする。 6時半に朝食をとり、部屋に戻ってすぐにチェックアウト。ホテルスタッフが荷物をリヤカーのようなものでジェティまで運んでくれた。このあたりのサービスはとても良い。 ちなみに話しながらジェティまで来たのだが、日本人だというと結構驚かれた。確かに日本人は少ない。滞在中も3組程度しか会っていない。逆に多いのが中国人。滞在中幾度か「ニーハオ」と挨拶された。至る所に中国語の表記がある。セメントや建築資材、電気三輪車などはほぼ中国製。唯一クルマだけはなぜか日本車が圧倒的に多い。中国の影響は大きい。 フェリーには7時15分ごろ着いたが、すでに中は人でいっぱいの状況であった。なんとか辛うじて椅子を確保し座る。7時半、意外にもぴったりに船は出航した。さよなら、マーフシ島。
ちなみに当初から予想はしていたが、フェリーチケットは船内でも購入可能であった。フェリー出航後にバスのように乗員がひとりひとりチケットをチェックし、なければその場で料金を払い購入。圧倒的にモルディブ人が多く、少しの白人旅行者、中国などのアジア系はごく僅かであった。船にはトイレや売店もあり、行きのフェリーより「人を運んでいる」感が強い。帰りは物資がたくさん詰め込まれるのだろうか。 1時間半後の午前10時にマレに到着。着いたのは出航と同じのビリンギリフェリーターミナルであった。 とりあえずこの後はタイに向かう飛行機に乗るのだが、それは夕刻。スーツケースが少しあるので荷物を預ける場所を確保しなければならない。ひとまずタクシーでエアポートフェリーが出る辺りまで戻る。 人と車と建物に囲まれたマレ。ごちゃごちゃし過ぎ。タクシーに乗りながらもその景色に改めて見入る。 荷物を預ける場所、、、思いきってマレ初日に宿泊したウニマグランドに行ってみることにした。お願いしてカバンだけ預かてもらえないか聞くためである。ダメなら空港に行きそこで預ける。とりあえず向かう。 約1週間ぶりのウニマグランド。ダメもとで尋ねてみると、なんとOK。しかも無料。有難い。時間と労力のロスを避けることができた。有難い。ゲロ女(旅行記「2.モルディブ・マーフシ島へ」を参照)さえいなければすごく印象のいいホテルになったのに、、と思う。
マレ観光は徒歩。見るべきエリアはそれほど広くない。 まず最初に向かったのは公共ビーチ。マレの西側に位置する。歩いてすぐだったが、思ってよりもずっと狭い。水は、、、マーフシ島よりもはるかに劣る。地元の人が遊んでいたが、外国人はなし。ちょっと泳ぐ雰囲気ではないかな。もちろん日本であればそれなりに奇麗なビーチなんだろうが。 公共ビーチ周辺はゴミも多くそれが少し残念だったのだが、それよりももっと心配なことがその先にあった。 マレから空港島までに大きな橋を建設しているのだが、その工事はどうやら中国企業が主導しているようだ。中国大陸のあちらこちらで見てきた大きな漢字の看板で作られたスローガン。それがここモルディブでも掲げられていた。 本当にモルディブのことを考えての投資なら問題ないのだが、アジアや太平洋、大西洋にある小国に対し他の中国のやり方を見ていると、モルディブも本当に不安になってくる。モルディブの美しい海はモルディブ人のもの。我々外国人はゲストとしてこの国や海を楽しませてもらっているだけ。それ以上を望むべきではない。いつまでもモルディブの美しい海が楽しめるように心から願う。
その後はモルディブの市場やイスラミックセンターなどを歩く。とにかく道が狭く、車やバイクが多い。空気も相当悪い。建物や店も同じものばかりで正直歩いていてもつまらない。市場も一見の価値ありとガイドブックに紹介されているが、通路などはとても狭く、正直観光客がぞろぞろと歩く場所ではない気もする。彼らの仕事の邪魔である。少しだけ見てすぐに出る。 その後はフェリーなどが多く発着する海沿いの通りを歩く。ここは外国人とみるとすぐに声をかけてくるとても輩が多い。「いい店がある」とか「どこへ行くのか」だとか。ほとんど無視か「必要ない」と言うのだが、しつこい。昔はこういうのを少しは楽しんでいたところもあったのだが、今はただウザいだけ。個人的にはこの「楽園」と思っているモルディブにおいてはやめてほしい。最後の印象が悪くなる。
海沿いを歩く。マレと言っても一応はモルディブ。海の色が違う。そのまま海沿いの食堂へ入る。海が見える雰囲気のいい店だ。「KOTTHU」と言う前からメニューで見て気になっていたものを注文。「少しスパイシー」と言っていたのだが、めちゃくちゃ辛かった。ロティ(ナン)を細かく切ったものをほかの食材と炒める料理なのだが、完食できないほど辛い。無念。。
その後は荷物をピックアップし、空港へ。正直このマレにはもう居たくない。ウザい勧誘は多いし、空気悪いし、交通渋滞多発で危ないし。という訳で空港へ。マレに反して空港はとても静かな空気が流れていた。カフェやレストランもありゆっくりできる。海風も吹き涼しく、こちらの方がずっと過ごしやすい。 それにしても6年経って空港の外の雰囲気はずいぶん変わった気がする。 一面工事中だらけだった当時とは違い、奇麗に整備されている。もちろん多少まだ工事もあるのだが、これからもどんどんきれいになっていく空港であろうと思う。
15時半、チェックイン。細かなことだがモルディブの出入国スタンプが、島のイラストに変わっていて可愛い。 空港内の免税店は他国のものとだいぶ似てきた。ウィスキーや時計に化粧品。悪いが興味のないものばかりだ。雑貨などは減ってしまった気がする。 コーヒーやハンバーガーを食べながら休憩。モルディブルフィアもすべて使い切った。今回唯一の特典航空券外のフライト、エアアジアに搭乗。18時半、美しいモルディブを後にする。
次は本当に久しぶりのタイ。 やりたいことばかりで今から楽しみだ。 データ:
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