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1995年7月27日〜9月10日
From Xi'an(西安)
シルクロードの旅













まえがき:
大学の中国1年留学のため、中国(西安)で中国語の勉強中。その為、旅の起点は西安となる。


1.シルクロードの旅 〜西安、張液、嘉峪関〜
2.シルクロードの旅 〜敦煌、ハミ、トルファン〜
3.シルクロードの旅 〜ウルムチ、イーニン、カシュガル〜
4.シルクロードの旅 〜タシュクルガン、パキスタン(フンザ)〜





ウルムチ

強い日差しが降り注ぐ中、シルクロードで最大の街ウルムチに到着する。
さすが区都だ。大きなビルや列車の駅、たくさんの人で溢れている。これまでのウイグルの雰囲気とは違い、ここは漢族も多い。
とは言えウルムチを楽しむのは後にして、すぐにイーニンへ向う。ウルムチでもうひとりの友達と合流するのだが、まだ少し日にちがあったので他の街を見てみることにしたのだ。目指すはイーニンというカザフスタンとの国境近くの町。特に何もないのだが、行く事にした。

ウルムチ〜イーニン間の夜行バス
ウルムチ〜イーニン間の夜行バス
ウルムチのバスターミナルを歩いていると、「オラ!」といきなり怒鳴られた。びっくりして振り返ると、怒鳴った兄ちゃんはしきりにバスを指差している。客引きであった。。びっくりした。
少し涼しくなってきた夕方、イーニン行きの夜行バスが出る。車内に2段ベッドが置いてあるバスだ。狭い上に、臭い。。バスタオルのようなシートに汗やら汚れやらが染み付いている。仕方がない。一晩の我慢だ。

バスは何もない荒野を走る。本当に何もない。真っ直ぐ伸びた道路に、寂しげに電信柱と電線が走っている。日が落ちると文字通り真っ暗になった。
バスは翌朝の早朝にサリム湖という大きな湖にの傍を通った。寝ぼけた目で窓から眺めたのだが、その美しさにすっかり目が覚めてしまった。真っ青な水に、遠くに山々が連なる。湖畔にはカザフ族の馬がたくさん放牧されている。早朝のひんやりした空気で頭が冴える。
美しい光景だ。運良くバスもサリム湖の湖畔で小休憩。水を手にして見たが冷たくて気持ちがいい。顔を洗う。すっかり目が覚めた。


バスはサリム湖を後にすると、だんだん標高を上げて走る。ウルムチからここイーニンは天山山脈の中に位置し、場所によっては標高も上がる。美しい山の麓。ここでも馬が放たれていた。


青く美しいサリム湖 湖畔には馬も放たれている イーニンに近づくと山の景色に変わる
青く美しいサリム湖 湖畔には馬も放たれている イーニンに近づくと山の景色に変わる


イーニン

中国の最果て。中国と言うよりは既に中央アジアの異国だ。歩いている人は漢民族よりも彫りの濃いアジアの民族の人がよく目立つ。街自体は何も見るところはない。田舎の地方都市という感じだ。

まずはとりあえず宿を探す。それ程観光客がいないのか、ある程度の宿はすぐに見つかった。荷物を置いて早速街を歩いて見る。天山山脈から流れ出る水が豊富なのか、街には果物等も多く売られている。街は「これから開発」って感じで殺風景だが、人々の活気はなかなかだ。

ガイドブックに紹介されているイリ河大橋へ。カシ河、キュネス河、テケス河がイーニンの東でひとつになるのだが、その河に架かる橋だ。この河はカザフスタンまで続いているとのこと。まあそれなりに大きな橋だが、観光地でもないので特に感じる事もない。多くの人が橋でくつろいでいた。

しばらく歩いて宿に戻る。しかし服が汚い。服だけでなく、顔や体も相当汚い。夜行バスや埃だらけの街を歩いて、自身も埃まみれになっている。鏡に映る自分が他人のようで面白かった。


果物などは結構ある イーニン市街 イリ河大橋
果物などは結構ある イーニン市街 イリ河大橋


特に用事のなかったイーニンだが、だらだらとしてそのまま2泊もしてしまった。
帰りもやはり夜行バス。早朝にイーニンを出て、行きにも通ったサリム湖を過ぎる。今回は停車はしてくれなかったが、快晴に美しい湖が映える。


サリム湖
サリム湖


ウルムチ

翌日、またウルムチに戻ってきた。
宿泊はウルムチ駅正面にある新疆飯店。立地も最高でドミトリーもある。部屋はまずまずかな。ただ、シャワールームが共同なのだが、浴びる人同士がすぐ隣同士で、しかも中央アジア系の「彫りの濃い毛むじゃらの人達」と一緒に浴びなければならない。ちょっと緊張する。

市内観光へ。まずは街中にある紅山公園へ向う。市民の憩いの場となっており、園内にあるぐんと突き出した岩山の上には「鎮龍塔」と呼ばれる塔がある。清代のもので、荒れ狂う河を鎮めるために建てられたそうだ。岩山の上からは景色も良くウルムチ市内が一望できる。改めてこれまでのシルクロードの街と違い、高層ビル群が目に付く。もの凄い勢いで開発が進んでいるのだろう。でも、路地裏にはウイグル帽に髭、シシカバブーを売る老人や、民族衣装を着た人がたむろっていたりする。ここは一番の文化の交差点にも思う。


新疆飯店からウルムチ駅を眺める 紅山公園 高層ビルが並ぶウルムチ
新疆飯店からウルムチ駅を眺める 紅山公園 高層ビルが並ぶウルムチ


翌日は天池へ行くことにした。
天池とはウルムチの東にあるボゴダ山脈にある主峰ボゴダ(5,445m)の中腹(1,980m)にある湖のことで、雪をかぶったボゴダ山をバックに美しい風景が広がる景勝地である。

ウルムチからは人民公園北口からバスが出ている。バスは天地に近づくとだんだん高度を上げ、すっかり山の景色となる。緑豊かな山ではカザフ族が馬などを放牧している姿もよく見かける。やがてバスは天池の駐車場に到着。
さすがウルムチ随一の景勝地。遠方にも拘らず、多くの観光客で溢れている。中国人も多いが、外国人も多い。日本人や韓国人など。

しばらく坂を登ると天池の風景が見えてくる。景色はなるほどさすがだ。青い湖に、白いボゴダ山が良く映える。周りの中国人も皆写真を撮っている。


天池
天池


山が好きで、水も美しく澄んでいる。でも、先日見たサリム湖の印象が強くて、そればかりが強く心の中に残っている。サリム湖の青くて広い湖面が、何も遮るもののない大きな湖面が頭から離れないのだ。ここはここでいいのだが。。

近くにカザフ族のパオがある。特に商売をしている風でもないが、改めてここには色んな民族がいるんだと思わされる。


主峰ボゴダ山が見える 水は澄んでいる カザフ族のパオもある
主峰ボゴダ山が見える 水は澄んでいる カザフ族のパオもある


ウルムチ市内に戻り、ここで初めて西安の友人と合流。ようやく3人となった。バザールや市内を散策し、パキスタンに向けて先を進む。
次の目的地はカシュガル。カシュガルには列車は通っていないのでバスの移動となる。途中で幾つかの街はあるが、既に8月下旬。旅に出て間もなく1ヶ月が発つ。もたもたしていると9月上旬から始まる授業に大きく遅れてしまうので、ウルムチからカシュガルまで1474kmの2泊3日の行程、一気に行く事にした。


バザール 名産のウイグルナイフ ウルムチ駅
バザール 名産のウイグルナイフ ウルムチ駅


朝バスはカシュガルに向けて発車する。このたび2度目の長距離移動だ。
バスは寝台なのだが、やはりシート型の簡易なもの。狭いし、当然だが汚い。それに暑い。。暑いので窓を開けると、乾いた空気がどっと流れ込み喉を痛める。また砂埃もすごいのでそれほどは開けていられない。閉めると今度は暑さと、色々なものの匂いが充満する。

長い。時々休憩の為に小さな集落に停まってはくれるが、基本は休みなしに走り続ける。もちろん夜もだ。それにしても何もない。永遠と荒野が広がっている気がする。道は一直線に続いており、気持ちいいぐらいだ。

そして2日目の夜、急に下痢に襲われた。しばらくは我慢していたが、だんだん脂汗が体中を流れ出し、ちょっとしたバスの振動で身を裂かれたような苦痛が襲う。。通常このような長距離バスで、しかも中国ではバスは停まってくれない。客の意見など、無視だ。しかし、どうにもこうにも追い込まれてしまったので、真っ暗な車内をふらふらの足取りで運転手のところに行く。。そして、

「腹が痛い。。停まってくれ。。」

そして奇跡が起きた。なんと停まってくれた!ティッシュペーパーを持ち、急いで車外へ。真っ暗の中、少しバスを離れると急いで腰を下ろす。助かった。。
これまで我慢してきた苦痛と、ほぼ無理だと思っていたバスの停車を成し遂げ、溢れんばかりの快楽が身を満たす。すると落ち着いて周りを見渡すことができた。そして驚いた。

「綺麗だ。。」

なんと満天の星空である。こんなにも星があったのかと思うほどの、無数の明るい星から小さな砂粒のような星まで様々な星が輝いている。見上げる必要すらない。周りが全て暗闇。目の前でも星が輝いている。星が溢れている。手を伸ばせば掴めそうなぐらいに。そしてその真っ暗な大地にはバスの明かりだけが、ぽつんとそしてぼんやり光っている。あのバスは自分の為に、自分の為だけに停まっているのだ。そう思うと身震いがしてきた。
タクラマカン砂漠のすぐ傍、広大なウイグルの大地、満天の星空の下でのこの「野○ソ」が、人生で最高のそれとなった。


カシュガル行きのバスの中 荒野を走る トマトソースの麺料理「ラグメン」
カシュガル行きのバスの中 荒野を走る トマトソースの麺料理「ラグメン」


バスに乗り2日目の夜が過ぎ、やがて朝が訪れた。
朝と言ってもまだ5時。真っ暗なのだが、どうやらようやくカシュガルに着いたらしい。遠かった。。。本当に遠かった。。。


カシュガル

カシュガル。
中国の西の端に位置し、ウルムチよりもずっとずっとウイグル色の強い街だ。街にはたくさんのモスクがあり、コーランが流れ、カラフルな民族衣装を着た女性が歩き、タバコを吹かしたウイグルのおじいさんが腰掛けている。順番にシルクロードを西に移動してきているが、文化の違いがだんだんとはっきりしてきて面白い。
とは言え、今はまだ朝の5時。どこの宿もやってはいないが、ドンドンドンと戸を叩き何とか泊めて貰った。

しばらく宿で休み、カシュガルを散策する事にした。それほど大きな街ではないので、レンタルサイクル借りて走り出す。
乾いた大地なのは同じだが、ウイグルの活気があって面白い。ちょっと郊外へ走るとすぐに土作りの家が現れる。路地には子供がたくさん走り回っており、皆外国人の自分達を見ると興味を示して寄ってくる。
そしてバザールも面白い。お馴染みのウイグルナイフや、男性皆が被っているウイグル帽、そして民族楽器も多種多様に揃っている。


カシュガルバスターミナル カシュガルの街並み 街行く人は民族色豊か
カシュガルバスターミナル カシュガルの街並み 街行く人は民族色豊か
ウイグル帽 ちょっと郊外に行くと土の家もある 民族楽器
ウイグル帽 ちょっと郊外に行くと土の家もある 民族楽器


ただ、食は寂しい。有名なものはシシカバブーなのだが、結構香辛料が効いていてこればかり食べている訳にも行かない。小さいのでお腹も膨れない。ウイグルの主食にはナンもあり、焼き立てこそ柔らかくていいのだが、冷めると鬼のように固くなる。保存もでき、もちろん食べられるのだが、柔な日本人の顎ではひとつ食べるのが限界で、翌日には顎が筋肉痛になってしまう。。他にもニンジンピラフもあるが、これもいまいち。美味しかったのはラグメンぐらいか。なるべく中華料理の店を探して入っていた自分が何とも情けない。

観光はまずホージャ墳へ向った。
17世紀頃にここカシュガルを支配していたホージャ族の墓だ。緑を基調としたカラフルなタイルが美しい。中々大きくて近づくと見上げなければならない。

次は市内の中心にあるエイティガール寺院。最大のイスラム寺院だ。今度は黄色が基調のタイル作りで、ここはたくさんの地元の人で賑わっている。イスラムの寺院と言うのは現在も使っているものが多く、熱心に祈る姿を見ると気楽に「観光」という気にはなれない。そう思うとやはり街歩きが楽しい。バザールでもいいし、何もない通りでもいい。人を見ているだけで楽しいものだ。

ちなみにカシュガル滞在中、友人二人が酷い下痢に襲われてしまい予定外の3泊もすることになった。同じ物を食べていたのに何ともなかった自分が不思議である。


ホージャ墳 エイティガール寺院 カラフルな布を売る
ホージャ墳 エイティガール寺院 カラフルな布を売る
いちじく(無花果)の甘漬け?甘い! 花嫁道具である化粧箱 お馴染みのウイグルナイフ
いちじく(無花果)の甘漬け?甘い! 花嫁道具である衣装箱 お馴染みのウイグルナイフ


カシュガルの滞在を終え、いよいよパキスタンに向う。
パキスタン行きの国際バスは、其尼瓦克賓館から出ている。タシュクルガンで一泊し、パキスタンのスストという街まで行く。
事前に260元で購入し、いよいよ出発の朝を迎える。
バスに乗る前の気持ちと言うのは、どうしてこんなに高ぶるのだろうか。楽しみだ。




データ:
ウルムチ
紅山公園 ・・・ 入場料4元
天池 ・・・ 入場料5元。夏季のみ人民公園北口から往復バスが出ている。約20元。本数は少ない。
カシュガル
ホージャ墳 ・・・ 入場料3元
イティガール寺院 ・・・ 入場料無料
国際バス ・・・ カシュガルからタシュクルガンで一泊し、パキスタンのスストまで行く。260元/人。其尼瓦克賓館から出発。
注意 ・・・ 入場料等は「留学生価格」で購入しており、これは一般の中国人と同じ価格。中国には外国人
価格が多くある。








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