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1995年7月27日〜9月10日
From Xi'an(西安)
シルクロードの旅













まえがき:
大学の中国1年留学のため、中国(西安)で中国語の勉強中。その為、旅の起点は西安となる。


1.シルクロードの旅 〜西安、張液、嘉峪関〜
2.シルクロードの旅 〜敦煌、ハミ、トルファン〜
3.シルクロードの旅 〜ウルムチ、イーニン、カシュガル〜
4.シルクロードの旅 〜タシュクルガン、パキスタン(フンザ)〜





国際バス

朝出た国際バスは、カシュガルを出るとすぐに景色は荒野へと変わった。本当に見事に何もない。広々とした荒野と荒々しい山が連なっている。バスは正直心許ない。国際バスなのだが、かなりボロい。走ればいいのだが、いつ故障してもおかしくないレベルだろう。人もたくさん乗っていて、多くの人は自分より大きなカバンや袋を持っている。大体は屋根の上に預けているのだが、その重さだけでも相当な物だろう。中国とパキスタンの国境、そしてパキスタン行きなので、やはりパキスタン人が多くいるように思う。


出発間近のバス 山と荒野が続く 検問所を過ぎてバスは走る
出発間近のバス 山と荒野が続く 検問所を過ぎてバスは走る


途中お昼休みの為に、小さな休憩場に停車。皆ここで軽く食事をとる。だんだん標高も上がってきている。周りはすっかり山岳風景だ。そして窓から入ってくる風もかなり冷たい。

しばらくすると雪を抱いた山が良く目立つようになった。今日宿泊予定のタシュクルガンの標高は約3,600m。富士山よりちょっと低いぐらいだ。周りにはそれよりもずっと高い山がひしめき合っているので、雪があるのも当然だろう。

やがて大きな湖が見えてきた。カラクリ湖だ。崑崙山脈の端にあり、周りには7,000m級の山が連なる。ここで少し休憩があったが、風が強く、そして寒い。標高はタシュクルガンと同じ3,600mぐらいだというが、吹く風は強くて冷たい。Tシャツと長袖しかないので、震えてくる。


険しい山が増えてくる 7,000mを越える雪山も カラクリ湖とムズターグアタ山(7,546m)
険しい山が増えてくる 7,000mを越える雪山も カラクリ湖とムズターグアタ山(7,546m)


どうしてもサリム湖の印象が強いのだが、ここカラクリ湖も負けず劣らず絶景だ。というか、このレベルになるとどこの湖や山でも美しいのだろう。人の手がほとんど入っておらず、ありのままの自然が残されている。厳しい環境だからそれも当たり前なのだが、厳しさと美しさはいつも同居し、そして紙一重なものだ。


カラクリ湖(3,600m)
カラクリ湖(3,600m)


タシュクルガン

日も暮れ始めた夕方前に、今日の宿泊場所であるタシュクルガンに到着した。
中国の最西の街であり、様々な民族が暮らす街だ。街というよりは小さな通りに沿って幾つかの建物などが建つ集落と言った感じのほうがいい。宿屋にチェックインし、周りを散策する。と言っても観光する場所もほとんどなく、時間もないので石頭城だけ行く事にした。

ここは南北跳梁代以前のもので、石と土で作られた城だ。今は廃墟のようになっているが、小高い丘にあるので景色はいい。少し散策しているとすぐに日が暮れてしまった。


石頭城 城からの景色は良い タシュクルガンの日が暮れる
石頭城 城からの景色は良い タシュクルガンの日が暮れる


翌日も朝からバスに乗る。
今日はいよいよパキスタンに入る。楽しみだ。しばらく走るとやがてイミグレーションに到着した。出国検査が始まる。全員が車から下り、パスポートコントロールのある建物に歩いて行く。事前に北京でビザは取っておいたので安心だが、やはり緊張するものだ。

無事、出国手続きが済むと再びバスに乗り、中国でもパキスタンでもない場所をバスが走り出す。乾いた空気、ひんやりした空気、全く違う異国へ行く心地良い緊張が体を包む。


イミグレーション付近 中国からの出国手続きをする いざ出発!
イミグレーション付近 中国からの出国手続きをする いざ出発!



そしてここからの景色は息を呑む絶景となった。


絶景が広がる 絶景が広がる
絶景が広がる 絶景が広がる
絶景が広がる


やがてバスは中国、パキスタンの国境であるフンジェラーブ峠に到着した。
標高4,943m。5月から10月の積雪のない時期にしか開かない貴重な国境。土砂や事故が多く、折角ここまできても通れない事も多い。しかし昔の人々はここを自力で通っていたのだから凄いものだと思う。空気は薄く、長時間いれば高山病などの危険もある。

しかししかし、景色は絶景だ。これだけの景観を持つ国境もそれ程はないはず。国境には石でできた標識があり、中国とパキスタンの国旗が描かれている。バスはここで少し休憩してくれたので、旅行者はみな写真や景色を楽しむことができた。それとは別に仕事できているだろうパキスタン人の多くは、座りショ○ベンをしたり一緒の人と話したりしている。
生まれて初めての陸の国境越えを堪能できた。


国境に停車するバス 国境にある石碑
国境に停車するバス 国境にある石碑


素晴らしい国境を堪能すると、バスはパキスタンに向けて出発した。
ここからは当然なのだが下りとなる。峠だから当たり前か。しかしこれまで登りが多かったせいかゆっくり走っていたバスが、突然生き返ったように猛スピードで走り始めた。かなり怖い。急いでいるのかこれが従来のスピードなのか分からないが、とにかくぐにゃぐにゃ曲がった山道をかなりのスピードで進んでゆく。


やがてパキスタンのイミグレーションに到着した。
入国手続きである。パスポートを提示し、スタンプを押され、そして備え付けてあるノートに名前と住所を書く。入国手続き終了だ。ついにパキスタンにやってきた。嬉しさがこみ上げてくる。

バスはやがてスストというパキスタンで初めての街に停車した。今回のバスの目的地である。ここからはバスを乗り継いで先に進む事になる。目指すはフンザという街。桃源郷と呼ばれ、非常に美しい景観を持つところらしい。
スストで両替をし、フンザ行きのバスを捕まえる。初めてのパキスタンバスに乗車し、フンザに向った。


バスは猛スピードで峠から下って行く パキスタンのイミグレーション ススト
バスは猛スピードで峠から下って行く パキスタンのイミグレーション ススト



フンザ

スストを出たバスは順調に山間の道を進む。この辺りはカラコルム山脈があり、この道もカラコルムハイウェイという。ハイウェイというが、何とか車がすれ違えるだけの危険な道だ。高い山々に囲まれ、その分谷も深く事故も良く起こっている。実際バスに乗りながら、「この谷にバスが今落ちても、もしかしたら誰にも気付かれずに終わってしまうんじゃないかな」と思うぐらい、深く、そして人気などない。
フンザまでは結構時間が掛かるらしく、やがて日が暮れて暗くなってきた。初めてくる国、そして初めての街。できれば明るいうちと思っていたが、仕方がない。

そして真っ暗になってしまった夜半に、ようやくフンザに到着した(らしい)。バスが停まり数人のパキスタン人と共に降りる。
まったく分からん。。どこをどう歩いていいのか分からないし、真っ暗だし、それに妙に坂が多い。結局人に連れられて行ったゲストハウスに泊まることにした。まだこの時点で自分がやってきた街について、全然分かっていなかった。


そして翌朝起き、ドアを開けて驚いた。


フンザ
フンザ


信じられない景色が目の前に広がっていた。
慌ててまだ寝ている友人を起こす。皆でびっくりする。

7,000m級の山々に囲まれ、緑の大地と、春には綺麗な花が咲き乱れるここフンザは、桃源郷として名高い。1974年まではパキスタン内の自治王国があった場所でもある。そしてここは「風の谷のナウシカ」のモデルになった場所でもある。これで日本でも随分と有名になったそうだ。
また、フンザ付近にあるウルタル峰Uで雪崩に遭い遭難した長谷川恒男の「ハセガワスクール」がある。捜索を手伝ってくれたフンザの人々に、彼の奥さんがお礼に作った学校とのことだ。

それにしてももの凄い場所だ。
建物がある場所の先にはフンザ川を見下ろす谷があり、その先、そして背後には真っ白な万年雪を抱く7,000m級の山々が鎮座する。昨日までの木一本すらない不毛の大地に比べ、ここにはたくさんの緑で溢れている。空気も美味しい。昨日は真っ暗で分からなかったが、まさかこんな場所に来ていたとは驚きだ。


フンザ渓谷 宿泊したOLD HUNZA INN 宿からの景色
フンザ渓谷 宿泊したOLD HUNZA INN 宿からの景色


街を散策する。
カラッとした空気に、緑色の木々が気持ちいい。暑くもなければ、寒いというわけでもない。日が当たると結構暑いぐらいだ。
素朴な作りの家もいい。簡単な木の家に、簡単にコンクリートが打ち付けられている。これまでのウイグルとはまた違って見ていて新鮮だ。平日なので学校に向う子供もたくさんいる。イスラムなので女性(女の子)は顔を隠していると思っていたが、ここではそうではないようだ。

ただ、食事はちょっと寂しい。
よく食べたのは豆のスープ。ほとんど味がなくて結構食べるのが辛かった。他にはパンやミルクティー、ナンにカレーなど。イギリスの影響かクッキーや紅茶は美味しい。


フンザの景色 フンザの街並み 家々
フンザの風景 フンザの街並み 家々
お土産屋もある フンザの山 カレーとナン
お土産屋もある フンザの山 カレーとナン


フンザ滞在中には、同じ宿に泊まっていた日本人と一緒に宝石トレッキングにも出かけた。
ここフンザは気軽にトレッキングもでき、外国人もよく出かけている。そして氷河や岩石の間に結構宝石の原石があるらしい。ほとんどが価値のないような小さな物だが、中には大物もあるとのこと。

車をチャーターし、数時間走り、歩き始める。最初は普通の山間を歩いたのだが、次第に氷河や石ころだらけの場所に変わる。この辺りに宝石があるという。あまり宝石には興味がないのだが、「探す」という行為は結構楽しい。文字通り「宝探し」だ。
結局ほとんど価値のない小さな原石(エメラルドやルビー)しか見つからなかったが、これはこれで楽しかった。


最初はこんな場所を歩く やがて石と氷河になる 宝石を探す
最初はこんな場所を歩く やがて石と氷河になる 宝石を捜す


再びフンザの宿に戻る。
これからの予定を考えた。既に9月に入っており、学校の授業が始まってしまっている。ちょっとまずい。これより先に行くのは諦める事にした。一応「パキスタンに3人で行く」という目的は達成できた。本当に数日の滞在、辺境のみの滞在であったがここらでパキスタンを去ることにした。去るとなると急に寂しくなるのが旅だ。色んな思いが蘇る。
最後に3人がそれぞれ持っていた紙に書いた言葉を壁に貼り、写真を撮る。持ち合った言葉はそれぞれ、「来たぞ!!」「パキス」「タン!」。ミッション完了!


雪山が迫るフンザ 背後にそびえるウルタール(7,329m) OLD HUNZA INN 味のある家
雪山が迫るフンザ 背後にそびえるウルタール(7,329m) OLD HUZA INN 味のある家


最後に宿のおやじにお礼をし、一緒に写真を撮ってスストに向うバスに乗る。これから西安までの3,000km以上の移動が始まる(泣)。
帰りはもうすっかりパキスタンにも慣れ、バス移動もまったく気にならなくなっていた。スストに到着し、今度はカシュガルまでのバスを予約。中国は再入国ビザを持っているので問題なく再入国できる。


宿のおやじ。お世話になりました。 この景色ともさようなら 再びスストへ向う
宿のおやじ、お世話になりました。 この景色ともさようなら 再びスストへ向う



友人が体調を崩した。フンザにいるうちから良くなかったのだが、ちょっと悪化してきた。急ぎ目で戻る事にした。
ススト、そして入国審査を経て、再びフンジェラーブ峠へ向う。途中には行きと変わらない風景だが、時々羊(?)の放牧があってバスが止められるなど、乗っていても飽きない。


荷物チェック 何もない荒野を走る 羊の群れ
荷物チェック 何もない荒野を走る 羊の群れ



しかしここらの景色は本当に絶景だ。何度見ても、何度通ってもいいもんだ。もう前回ほどの興奮はないが、それでもこの景色には心奪われる。


フンジェラーブ峠
フンジェラーブ峠付近


広大な風景が広がる
広大な風景が広がる


カラクリ湖、再び
カラクリ湖、再び


再びカシュガルに戻ってきた。
行きはウルムチ〜カシュガル間は地獄のバス移動を行ったが、友人の状態と学校の授業を考えると暢気にバスに乗ってはいられない。話し合った一大決断。ウルムチはまでは飛行機を使うことにした。1,220元(約17,000円)と決して安くはないが、これまで貧乏移動をしてきたのでこれぐらいいいだろう。

ウルムチではやはりまた新疆飯店に泊まり、ウルムチ→西安間の寝台列車を予約。3泊4日をかけて西安に戻る。西安に帰ると既に9月10日であった。学校では既に「旅好き」と知れ渡っていたので、それ程お咎めもなかった。


カシュガル⇒ウルムチ間の飛行機 新疆飯店(ウルムチ) ウルムチ発西安行きの列車
カシュガル⇒ウルムチ間の飛行機 新疆飯店(ウルムチ) ウルムチ発西安行きの列車


あいにく西安は雨であったが、見慣れた街を見た時は本当にほっとした。
全体に食事は寂しい今回の旅ではあったが、それを十分に補って余るだけの素晴らしいものが満載であった。中国の中にある様々な民族や文化も体験する事ができ勉強にもなった。無事、目標だったパキスタンにも行く事ができ、色々な意味で満足の行く旅であった。
内容の濃い、そして思い出のできたシルクロードの旅であった。



データ:
パキスタンビザ ・・・ 北京大使館で取得。無料。
申請から受け取りまで3日ほど掛かる。パキビザ、かっこいい!
パキスタンビザ
飛行機(カシュガル⇒ウルムチ) ・・・ 1220元
列車(ウルムチ⇒西安) ・・・ 125元(硬臥/片道) 所要3泊4日
当時の列車の切符はまだ左のような厚紙であった。この当時の中国を旅した者なら分かると思うが、この厚紙を手に入れるの皆、
非常に苦労していた。現在のようなオンラインで買うことはできず、全てが「人と人」とのやり取り。切符購入は運と根気の作業。
まさに「宝のような厚紙」なのである。

(マウスを乗せると裏も見えます)
注意 ・・・ 入場料等は「留学生価格」で購入しており、これは一般の中国人と同じ価格。中国には外国人
価格が多くある。








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