1.中国・雲南「景洪」 2.中国・雲南「大理・麗江・石林」
1.中国・雲南「景洪」 「ここにひとりで行けるんだろうか」 何もひとりで行く必要もないし、その意味もないのにその必要に迫られ、そして夜になってまだ見ぬ土地に恐れを抱く。そしてその恐れを払拭する為に旅に出る。 こうして旅の地としても人気の高かった、中国の南の果て「雲南省」に出掛けることにした。 西安で列車の切符を予約する。これを予約すればもう後には戻れない。取れた列車は20時半発。再び夜の西安駅に出向かなければならない。留学生楼で知り合いに別れを告げ、ひとり西安駅に向う。 夜の駅はやはり暗くて、ぼんやりと点いているオレンジ色の光が何とも寂しい。目的地である昆明には2泊3日の行程だ。これからしばらくは本当にひとりになる。 列車の中は相変わらずの人ごみだ。夜になれば薄明るい車内に人の声や寂しい列車の音が響き、明るくなれば何かを食べる音や代わり栄えのしない景色が流れる。今は誰とも話したくなかったので、ほとんどを寝台に寝転んで時間を過ごした。 3日目になってようやく昆明に到着した。 予想していたよりもずっといい気候に驚いた。雲南省の省都であり、春城と呼ばれるほど年中を通して暖かい気候だ。そう気候的には亜熱帯にも属する。ほとんど南国だ。色々な少数民族も住んでおり、雲南省の観光のひとつにもなっている。 まずは雲南省で一番行きたかった西双版納(シーサンバンナ)に向う。最も南に位置し、最も南国を味わえる地域である。主な街は景洪なので、早速昆明からのバスを予約する。 翌日14時、意外に街であった昆明をバスは出発し、南へと走る。中国の最南端だけあるので、昆明からでもバスで一晩掛かる。途中に食事などを繰り返しながら走る。夜になるとどんな道を走っているのか分からないが、かなりの山道を通っているようでバスが左右によく揺れた。
翌朝明るくなってくると大きな河が見えた。どうやらメコン河のようだ。それを越えると、ようやく景洪に到着した。周りはすっかり南国だ。 バスターミナルから歩いて版納賓館へ向かう。ドミトリーが30元で宿泊できた。他の客はまだ誰もいないようだ。面白い事にベッドの上に「蚊帳」がついている。さすが南国の宿だ。 早速これまでとは全く違う雰囲気の街を味わう為に、自転車を借り散策に出かける。 街の中にもヤシの木が茂り、ハイビスカスなどの花も見られる。流れている空気も生暖かい。これまでの埃っぽい中国の街とはイメージがまったく異なる。 街の近くを流れるメコン河にも行って見る。人生で初のメコン河。広くて大きな河だ。自転車を停めてぼおっと眺める。まっ茶色の河が穏やかに流れている。同じ茶色でも黄河とは全く違って見えるのは、やはりヤシの木などの周りの景観のせいだろうか。地元の子供が泳いでいるのが見えた。
そのままの足で市内にある「民族風情園」へ。敷地内にタイ族やハニ族の生活道具や住居などが展示されている場所だ。 中は意外と静かで、というよりは敷地が広大なのかあまり人に会わない。説明通り色々な生活道具や住居などが建てられているが、それ程興味を引くものではなかった。唯一、象に乗って写真を撮れる場所があり、それは楽しかった。内モンゴルで馬に、シルクロードではラクダに、そして雲南では象に乗った。あと中国で乗れるものって何があるかな? 日も暮れかけてきたので宿に戻る。 ドミトリーに入ると男の白人旅行者がいた。何故か上半身裸だ。簡単に挨拶を済ますと、白人は今日廻ってきた景洪の話をし始めた。英語が得意ではなかったのでよく分からなかったが、どうやらメコン河で泳いできたようだ。通りで背中などが真っ赤になっている。あの泥水でよく泳ぐなあと思っていたら、予想通りドミトリーにあるシャワールームが砂まみれになっていた。やれやれ。 しかも相当日焼けしたようで、その夜は「Hot, hot」とつぶやいてうるさくてあまり眠れなかった。 翌日はバスに乗り近郊の街に出かける。 向かったのは景洪からさらに南に70Kmにある大 ![]() 2時間ほどで大 ![]()
帰りもゆっくりと戻る。途中の林で木が切りつけられており、そこに小さなお椀がつけられている。その中には白い液体がたくさんあるのだが、多分ゴムの木でゴムを採取しているのだろう。初めて見る。 景洪に戻ると夕方になっていた。 ちなみにここら辺はトカゲが非常に多い。特に夜、宿の光に集まって来る虫を食べに大量に現れる。一度外に出て戻ってくると、白い外壁に一面トカゲがへばり付いていた。かなりのショッキングな絵である。ドアをバタンと閉めたら数匹落ちてきそうだったので、ゆっくり開け閉めをする。南国ならでは、か。 翌日は再び自転車を借り、景洪付近を散策した。 特に目的はなく、ふらふらと走り続けた。強く降り注ぐ太陽に南国の風。灰色の空ばかりが覆う西安とは全く違い、とてもいい雰囲気だ。何も考えずに自転車をこぐのが楽しい。メコン河を見たり、南国風の家を見たり、この日はとにかくふらふらと走り続けた。
さらに翌日はガイドブックに載っていた「象の樹」を見に ![]() バスで1時間程度の場所にある。切符を買う際に中々中国語の発音が通じなかったが、文字を見せればすぐに理解してくれた。発音は間違っていない自信があったので、相当言葉が鈍っている地域なのだと思う。 ![]()
本当に象のようだ。 大きさはそれ程でもないが、きっとここで昔象に関する何かがあったのだろう思えて仕方がない。特に用事もなかったので、2時間近くこの樹を眺めていた。 宿に戻ると、同室だった白人が宿を出るという。これから国境を越えてラオスに向かうと言う。ラオス?聞いた事もない国だが、どんな国なんだろう。とても強そうな国にも思える。変わった白人だと思っていたが、ちょっとすごいと思った。 翌日昆明に戻るバスに乗った。もちろん帰りも寝台バス。たった一晩なのだが、意外と長く感じた。 データ:
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